DX(デジタル・トランスフォーメーション)。
最近、よく目にするワードです。でもわかりにくい。
そこで、DXとは何なのか?どのように取り組めばいいのか?を、これから数回にわけて特集していきます。
ぜひ動画もご覧ください。
DXは言葉が先行しており、新聞・雑誌やインターネットを含めてDXという言葉を使わない、見ない日はないですね。
流行り言葉、いわゆる「バズワード」「ビッグワード」になっています。
ただ一方で、DXが非常に抽象的で分かりづらいことも確かです。
それはなぜでしょう?
営業DX、財務DX、医療DX、福祉DX、金融DXといったように、業種や業態もしくは仕事そのものに、このDXという言葉が付帯して、非常にわかりづらくしていることが1つです。
また、多くの専門家やメーカーが、ある意味自分たちの都合の良いように、このDXという言葉を解釈し、使ってしまっているように思います。自由度・抽象度が高いがゆえに、DXという言葉が非常にわかりづらくなっているということも言えます。
DXをイメージしてみてください。
「ゴールがわからない」であるとか、「そもそもやり方がわからない」、「大企業だけのものだ」などというイメージが強く、また、IT化・システム化をしていれば、それがイコールDXだと思っている方も非常に多くいらっしゃいます。
弊社も含めて中小企業では、デジタル人材の確保は高いハードルです。
DXは遠く険しい道のり、難しく、お金も時間もかかりそうだ、などというイメージになってしまいます。
このわかりづらいDX実現のために、一体どのようなことをすればいいのか、また、企業の成長とどんな関わりがあるのか、ということをこれから数回にわけてお伝えします。
DXというのは、少々学術的なところもあり、定義をお話しするとやや難しい言葉も入ります。まずはざっくりと全体像をご理解いただければと思います。
先ほどお話した通り、やはりDXに対してはネガティブなイメージをお持ちの方が多く、DXに取り組むと言っても、すぐに行動や実践に移すのは難しいことは事実です。
しかし、そうは言っても、このDXという活動そのものは経営戦略、成長戦略であり、DX戦略の策定や実践は避けては通れなくなっています。
その背景としては、パソコンやスマホ、インターネットが広く普及したことによってIT社会、デジタル社会になりつつあることが1つ。さらに、パンデミックや災害、少子高齢化による労働力不足などという課題も世の中に山積しています。
デジタル技術やデータを使わずして企業が成長するということが難しくなってきていることに間違いないでしょう。
DXの定義は、経済産業省や大学教授などによるものがあります。
ただ、そこから入ってしまうと非常に難しく感じてしまうので、釈迦に説法ではありますが、大前提として企業自体がこれまでどのような活動をしてきたのか、そしてどのようなことを目標に企業活動を行っているのか、という視点からお話していきます。
企業は常に「生産性の向上」ということを考えて活動されていると思います。
会計用語的になるのですが、この「生産性の向上」は「成長性」、「収益性」、「効率性」、そして「安全性・信頼性」の4つに分解できます。この4つをバランスよく伸ばしていきながら、全体として生産性を上げていくということが企業活動の基本です。
まず「成長性」についてお話しさせていただきます。
具体的にはどのような活動でしょうか?
売上、いわゆるトップラインを伸ばすというのも1つの成長だと思います。お客様を増やしていく、販売エリアを拡大する、製品ラインナップを増やすといったことも、成長性を伸ばすことと言えるでしょう。
2つ目が「収益性」です。
収益性を上げていくということは、原価低減とか、オペレーションコストの削減等が挙げられます。さらに、例えば営業会社であれば、営業力など社員のスキルアップということも収益性の向上につながります。
3つ目の「効率性」は、その会社が持っているリソースを、いかに有効活用するかということだと考えます。
例えば在庫の適正管理でキャッシュフローを上げていくこと、土地や建物といった保有資産を活用して利益を生み出す力だと思います。
それ以上に、社員という、企業にとって最も大切な経営資源を適正な労務管理で守っていく。また社員が働きやすい環境を整えていくことも効率性の向上につながります。今でいうところの働き方改革なるものです。
最後は「安全性・信頼性」です。
当然、財務の健全性、安全性は重要です。また、昨今ではコンプライアンス経営であるとか、ハラスメントの撲滅ということも非常に大切な安全と信頼です。
コロナ禍で社員さんの健康や安全に対しても企業として向き合っていく必要もあります。
以上の4つ、「成長性」、「収益性」、「効率性」「安全性・信頼性」を伸ばしていきながら、企業の生産性を向上させていく、ということが企業の目的であり、世の中すべての企業に共通するものではないでしょうか。
DXとは、先ほど申し上げた企業の目標、つまり「成長性」、「収益性」、「効率性」「安全性・信頼性」を伸ばしていくため、デジタル技術とデジタルデータをツールとして活用していくということです。
忘れてはならないのは、デジタル技術とかデジタルデータというのは、あくまでもこの4つを伸ばしていくための手段・ツールであるということです。
DXの一般定義もしておきます。
上記のとおり、デジタルデータとデジタル技術を活用して企業の変革をしていくことです。そしてもう少し補足すると、スウェーデンの偉い学者さんが、「人々の生活をあらゆる面でより良い方向に変化させる」こと、と定義しています。
スマホの登場も1つですし、電子レンジに搭載されているAIや車のナビゲーションシステム、今流行っている5Gも、デジタル技術が人々の生活をより良い方向に変化させたものと言えます。
それを企業の立場に落とし込むと、経産省が言う、「企業がビジネス環境の厳しい変化に対応し、データやデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位を確立すること」となるわけです。
やっぱり、定義が抽象的で難しいですよね。
ですから、基本的には【今まで企業が目指してきた「成長性」、「収益性」、「効率性」、「安全性・信頼性」を向上させて生産性を高めていくために、デジタルデータとデジタル技術を活用する。】と考えることにしましょう。
では、「成長性」を伸ばしていくためには、具体的にどんなデジタル技術が必要なのか、どんなデジタル技術を活用すれば「収益性」が伸びていくのか、「効率性」や「安全性・信頼性」を高めるためにはどんなシステム、ITツールを使えばよいのか、ということを、次回からはまとめていきたいと思います。
(記事作成者:丸山貴幸)